日本山岳写真協会 選抜展

2008ーそれぞれの山

●期 日: 2008年12月19日ー12月26日
●場 所: コニカミノルタプラザ・ギャラリーC

1
「時を刻む穂高三景」

 池田 栄子



北穂高岳は、穂高連峰の一番北に位置する山で、北アルプスを代表する3000m級の岩山である。仲間に助けられながら初めて登った山頂では、槍ヶ岳が天空に雲を広げ穂先を突き上げ美しい雄姿で迎えてくれた。槍ヶ岳を見ながらビールを飲み過ごせた3日間は至福の時間であった。




2
「天界」

 井原 明弘



この星〔地球)を大切にせぬ、驕る人間を戒めるごとく連日連夜ゴウゴウと荒れ狂う。狭小で無力を思い知らされ頭を垂れ、じっと耐えた者に天はほんのわずか微笑んでくれる。その一瞬の荘厳で神々しい山々の姿よ。そんな天からの伝言を授かりたいがために、極寒の森林限界を越える。だが、ここから先は足を踏み込みことを躊躇するまさに神々の領域。



3
「冬の山稜」

 大石 高志



日本の山岳風景は四季の変化に富んでいる。春から夏を経て秋の山までは、樹木や色とりどりの高山植物が豊富に息づいており、生命観にあふれている。しかし、新雪の頃から厳冬期になると、生き物の気配はほとんど感じられなくなり、そこは雪に覆われた岩と山肌の白銀の世界が現れてくる。この時期の山岳風景もいろいろな貌があり、冬山の優しさや厳しさ、、美しさが感じられる。




4
「自然遺産の森」

 川野 誠



世界自然遺産の島「屋久」は列島の西南端に位置し、小さな円形の島ながら2000m近い山々が連なった洋上アルプスを形成している。とりわけ島の南西部域の湿潤の森と山岳景観は見事であり、自然遺産の名に恥じない驚異の島である。魅入られて数年、悠久の森を彷徨って山行撮影を重ねている。



5
「真冬の天狗岳」

 佐藤 孝也



冬の天狗岳はアルペン的風貌を見せ、ピッケル、アイゼンを装備しての登高。寒さは一級品で、マイナス20度は当たり前の中、緊張状態で作品づくりをしている。しかし、そこで創られた風景は目を見張るものがある。私は、この冬の美しさと厳しさを表現できるように日々撮影を心がけている。



6
「天空のドラマ」

 鈴木 進



まだ暗い朝、撮影ポイントに三脚をセットする。眼下に雲海が、頭上には流れの速い雲。東の空が明るくなる。太陽が顔を出す。ドラマが始まった。午後、山小屋は霧の中。夕方、一瞬窓が明るくなる。天女の衣が空を覆うように、また、鋭鋒にかかる雲が朱に染まる時、自然が織りなすドラマに魅せられる。感動の瞬間だ。



7
「厳冬八ヶ岳」

 瀬戸口 隆司



私が冬山を始めた「南八ヶ岳」。北アルプスにも匹敵する迫力あるシーンが展開する。また、強風とマイナス25度以下にもなる厳寒の中で、カメラもそれを操作する指も凍る。厳しければ厳しいほどに、私はこの南八ヶ岳に惹かれる。



8
「表富士惜秋」

 名取 洋



日本を代表する山、富士山。その端正な姿は古来から詩歌に詠われ、絵画に描かれてきた。
しかし、富士山中に一歩足を踏み入れると、遠くから見た端正な姿とは違った一面を見ることができる。表富士、宝永火口付近は絶好の撮影地である。特に初冠雪便りが聞かれるころ、晩秋から初冬は人影も少なく、魅力的な被写体を探すことができる。



9
「秋の剱岳」

 長谷川 洋一



異常気象の影響か、この年の紅葉は遅れている様子。小屋閉め間近の頃、立山・剣御前から剱岳を横目に剱沢を下る。この時期になると行き交う人も少なく、足早に池の平に向う。翌日、快晴。風もなく紅葉は盛り、絶好の撮影日和。池越しに眺める紅葉、雄大な剱岳が素晴らしかった。



10
「輝く山稜」

 早川 和子



北アルプスの真っただ中に在る燕岳。
雄大な白銀の世界、白く雪化粧した北アルプスの嶺々は、私にとって飽くことのない世界。
厳冬期に通い続けて15年。孫には「燕岳はおばあちゃまの山よ」と、そんな想いを作品に。



11
「風、薫る」

 前羽 光雄



奥上高地、徳沢。冬の厳しさにも耐え、芽吹きの季節。水も温み、春の風が・・・・・
志半ばで病に倒れ、帰らぬ人となった想いが心の片隅を過ぎる。後日訪れるとニリンソウは見事に咲き誇り、微笑んでくれた。



12
「稜線讃詩」

 三森 康弘




燕岳は風雪にさらされた花崗岩が多く、特異な岩稜が見られるため、多くの写真家に人気の高い山である。長く苦しい道のりを登りつめると、一面白銀の世界。厳冬期の雪稜は太陽に照らされ光り輝き素晴らしい光景となる。しかし、自然は時として人間を寄せ付けない厳しい表情をも見せる。私は、寒さに耐え、高まる心を抑えファインダーを覗き、息を止めてシャッターを切った。



13
「早春の輝き」

 梁瀬 久雄



鳥海山の西山裾は日本海。厳冬の強い季節風で未だ2mの雪を纏う。4月末の早朝、凍てつく鳥海山は氷結の光を放つ。陽が昇るにつれ、扇子森からヶ岳に一瞬の春を感じる恵みの光芒が輝き、上空に雲が踊る。傘雲やくらげ雲で今日も荒れた一日であったが、日本海に投影する日没を拝み、賽の河原は虹色の輝きとなって今日一日を締め括った。





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